通常帰化が許可されるための条件
国籍法では以下のように規定しています。
- 引き続き5年以上日本に住所を有すること。
- 20歳以上で本国法によって行為能力を有すること。
- 素行が善良であること。
- 自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
- 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うこと。
- 日本国憲法の施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
「住所」についての解釈
国籍法では「住所」の定義がないので、何をもって「住所」といえるかについて解釈、裁量の余地がありますが、一方では「住所」のほかに「居所」という規定があります。
「住所」と「居所」に関しては、民法22条では「住所」の定義として「各人の生活の本拠をそのもの住所とする」という規定がありますが、帰化許可申請ではどのような場合に「生活の本拠」と認められるのか?が問題になります。
この点については、「少なくとも3年以上は就労している」場合に「生活の本拠」といえるだけ日本に定着していると判断し、国籍法上の「住所」と認めているようです。
国籍法6条では以下のように「住所」と「居所」が使われています。
- 日本国民であった者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者
- 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれた者
- 引き続き10年以上日本に居所を有する者
以上いづれかの条件に当てはまれば、帰化を許可することができるとされています。
「引き続き」についての解釈
「引き続き」という点ですが、年間合計100日以上の出国がある場合は特に気を付けなければなりません。
もちろん明確な基準が公表されているわけではないのですが、年間合計100日以上の期間出国していると、申請において「引き続き」という点において特に説明が必要となります。
「引き続き」といえるかどうかに懸念がある場合は、まずは年間合計100日以上の出国を一つの目安としてよいと言えるでしょう。
「素行が善良であること」についての解釈
いわゆる素行要件については、実刑有罪判決の前科が問題となるほか、執行猶予付き有罪判決の前科や、在留期間経過後の不法残留(オーバーステイ)も問題となります。
また、交通違反、税金未納、内縁関係も問題となります。